ぷかり堂の社会見学
~ けい水産編 ~
トビウオやシイラなど、屋久島近海で獲れる魚の燻製を作っているけい水産。
けい水産の燻製は魚の燻製なのにしっとりとしたまるで生ハムのような食感といい香りが特徴的。ぷかり堂でご試食された皆さまもその香りと食感に驚いた方は少なくないでしょう!屋久島内のご飯屋さんやガイドさんも御用達の品です。湿度と気温の高い屋久島。干物や燻製作りには一見不向きな環境ですが、一体どんな風に生ハム風燻製は作られているのでしょうか?
けい水産の製造直売所はトビウオ漁獲高日本一、屋久島東部に位置する安房にあります。
青空と草木の緑に映える白い建物の裏からはうっすらと煙が…。
本日案内をしてくれたのは「けい水産」代表の田中啓介さん。
約20年前に屋久島に移住。移住前はバックパッカーとして東南アジアを旅し、やがて日本に帰国。日本全国を旅する中で、屋久島に来島しそのまま移住。その後トビウオ漁船乗組員として6年間トビウオ漁に携わり、2009年にけい水産を創業されました。
「地元の漁師さん達と一緒に春夏秋冬、猛暑や寒波、季節風にも負けずに天然の魚を獲って暮らす。この“暮らし”が僕にとっての屋久島の魅力で、とても楽しかったですし、漁師生活に誇りを持って暮らしていました。
ただひとつだけ気になったことを挙げるなら、せっかく重い網を引いて持ち帰ったトビウオが傷などの理由で売れずに余ってしまっていたことでしょう。ましてや自分たちのお金のために命を犠牲にしてしまったトビウオが余ってしまう。
食べきれないからといってウロコや内臓をとるなどの下処理をせず冷凍しておいても味が落ちる。
獲ったばかりで新鮮なトビウオを無駄にせず、美味しくいただく方法を考えたときに始めたのがこの燻製作りでした。」
燻製作りは、まず魚の買付から始まります。トビウオ漁は日帰り漁なので、その日に獲った新鮮なトビウオだけが安房港に水揚げされます。
ちなみにトビウオにも種類がいろいろあるのはご存知ですか?日本で獲れるのは31種。そのうち10種がここ屋久島で獲れるそうです。
季節に応じて獲れる種類が変わります。取材時期(1 月)に獲れるのは31種の中でも最大サイズ、その名も「ダイトビ(ハマトビウオ)」。この日も全長50センチほどの大きなトビウオが買い付けられていました。
そして獲ったその日のうちに下処理を施します。1匹1匹丁寧にヒレやウロコ、内臓を取り除いていきます。刺身ですらまだ食べられていないほど新鮮なうちにさばくことで、燻製にした時にも臭みが出ないんだとか!確かに生ハム風でしっとりしているのに魚の生臭さは一切しません!
またここでは小骨までしっかりとりのぞきます。そのおかげで食感がいいのはもちろん、お子様からご年配の方までみんなが美味しく食べれますよ!
※ちなみに骨の部分は骨せんべい(非売品)として美味しく召し上がれます。
次は干物にする工程。ここで屋久島ならではのこだわりが…!
“海風にさらして天日干し”が一般的な干物作りの工程ですが、湿気が多く気温も高い屋久島ではそうはいきません。ムラなく安定した商品作りのために選んだのが“ピチット”という脱水シート。
これに包み3℃に設定された冷蔵庫で4日間ほど熟成。鮮度を保ったまま旨味がぎゅっと凝縮されます。また、燻製にする前に余分な水分を取り除くことで防腐効果もあるそうです。